犬の皮膚腫瘍にレーザー治療は使える?|出血や痛みを抑えた切除の選択肢
犬の皮膚に腫瘍が見つかったとき、多くの飼い主様が不安や迷いを感じるのではないでしょうか。
中には、良性に見えても急速に大きくなったり、出血や感染を起こすケースもあります。
「犬の皮膚にできものがあるけど、放っておいても大丈夫?」
「手術で切るって聞くと、出血や痛みが心配」
「なるべく負担の少ない治療法を選びたい」
このような思いを持つ飼い主様もいらっしゃると思います。
近年では、こうした皮膚腫瘍の治療において「レーザー切除」という選択肢が注目されています。
今回は、犬の皮膚腫瘍とレーザー切除の関係について、わかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、皮膚腫瘍の治療の選択肢の参考にしてください。
犬の皮膚腫瘍とは?
皮膚腫瘍は、犬によく見られる病気のひとつで、皮膚にできる腫瘍の総称をいいます。
犬は体を毛に覆われているため皮膚腫瘍が見逃されがちです。
皮膚腫瘍は硬さや大きさも腫瘍ごとに様々な特徴があります。
また、一見良性のイボのように見えても、悪性のこともあるため注意が必要です。
よく見られる皮膚腫瘍には以下のような種類があります。
- 乳腺腫瘍
- 悪性黒色腫
- 皮膚型リンパ腫
- 肥満細胞腫
- 扁平上皮癌 など
見た目だけでは良性か悪性かの判断が難しいため、まずは動物病院での診察が必要です。
細胞診や血液検査などを行い、必要であれば早めに切除することが望ましいとされます。
レーザーによる皮膚腫瘍の切除とは?
レーザーによる皮膚腫瘍の切除とは、レーザー光を使って組織を切除・凝固する方法で、外科手術の一つとして応用されています。
特に皮膚表面や皮下にある腫瘍では、レーザーを使うことで以下のような利点があります。
- 出血を最小限に抑えられる(血管を焼き止めながら切除)
- 切開範囲を狭くできるため、術後の痛みや腫れが少ない
- 麻酔が最小限で済む可能性がある
- 傷の治りが早く、縫合を必要としないケースもある
- 処置時間が短く、日帰り手術が可能なこともある
基本的には皮膚の腫瘍は外科手術での切除が第一選択になります。
しかし、レーザーによる切除のメリットである麻酔の量の少なさや、処置時間の短さは高齢の犬や通常の切除が難しい場合に効果的です。
犬に負担の少ない治療法としてレーザー治療も選択肢の一つにできますね。
すべての皮膚腫瘍にレーザー切除が使えるの?
レーザー治療が適している皮膚腫瘍は、乳腺腫瘍などの体表面に近い腫瘍です。
また、
- 高齢や持病のある犬で、体への負担を減らしたい場合
- 再発しやすく、定期的に切除が必要な場合
- 頭部や顔面など通常の外科手術でも切除が困難な場合
などのケースではレーザー切除が適しています。
レーザー切除はあくまで外科手術の補助的手段の一つであり、すべての皮膚腫瘍に適しているわけではありません。
特に以下のようなケースでは、レーザー治療では対応できないことがあります。
- 腫瘍が深部まで及んでいる場合
- 悪性が疑われる腫瘍
- 病理検査のために十分な組織が必要な場合
特に悪性の腫瘍の場合は腫瘍を完全に切除する必要があるため、レーザーだけではなく通常の外科手術が適していることもあります。
腫瘍の性質や位置、大きさなどを事前にしっかり診断し、「レーザーで安全に取れるかどうか」を判断することが重要です。
レーザー治療の流れ
レーザーによる皮膚腫瘍の切除は以下のような流れで行っています。
- 診察・触診・必要な検査(細胞診など)
- レーザー切除の適応かどうかを判断
- 短時間の麻酔下でレーザーによる切除
- 縫合が不要な場合はそのまま回復、必要な時は縫合
- 経過観察、必要に応じて病理検査
腫瘍の種類によっては、術後に抗がん剤などの追加治療や経過観察が必要なこともあります。
レーザーによる皮膚腫瘍の切除の最大のメリットは痛みが少なく犬の体に負担が小さいことです。
通常の外科手術での切除かレーザーでの切除をするかは、よく獣医師と相談しながら決めていきましょう。
まとめ
犬の皮膚腫瘍は、見た目では良性・悪性の判断が難しく、放置すると大きくなったり、出血・感染の原因になることもあります。
そうした中で、レーザーを用いた切除は、出血や痛みを最小限に抑えられる治療法のひとつとして注目されています。
当院では、腫瘍の状態や犬の体調に応じて、できるだけ体への負担が少ない治療方法をご提案しています。
「皮膚のできものが気になる」「切らずに治療できる方法を知りたい」そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 犬の皮膚腫瘍はレーザーで取れるのですか?
A. 小さく体表にある腫瘍であれば、レーザーで切除できることがあります。
出血が少なく、痛みも抑えられます。
Q2. すべての腫瘍にレーザー治療は使えますか?
A. 悪性腫瘍や深部にある腫瘍には通常の外科手術が必要です。
まずは診察と検査で判断されます。
Q3. レーザー切除はどんなときに選ばれますか?
A. 高齢で体力が落ちている犬や、出血をできるだけ避けたい場合に選ばれることがあります。
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