犬が排便時に痛がるようになったり、おしりを気にして舐めていたりすることはありませんか?
このような症状がある場合には、肛門周囲腺腫(肛門腺周りの腫瘍)の可能性を考える必要があるかもしれません。
肛門の周囲に発生する腫瘍の中でも、肛門周囲腺腫は高齢の未去勢オス犬に多くみられる腫瘍です。
「肛門の腫瘍ということは手術が必要なの?」
「なるべく痛みの少ない治療方法はないの?」
「高齢の犬だけど手術できる?」
このように思われた方もいらっしゃると思います。
今回は、この肛門周囲腺腫について、症状や、近年注目されているレーザーによる治療方法についてご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、肛門周囲腺腫の治療方法を考えるきっかけにしてください。
犬の肛門周囲腺腫とは?
犬の肛門周囲腺腫は、肛門の周囲にある皮脂腺のような腺組織から発生する腫瘍です。
一般的には良性とされることが多いですが、見た目だけでは悪性腫瘍との区別がつかないこともあります。
また、肛門周囲にできる腫瘍には肛門嚢腺癌(悪性)もあるため、正確な診断を受けることが重要です。肛門周囲腺腫は男性ホルモンの影響を受けて成長するとされています。
そのため、高齢の未去勢オス犬に多く発生するという特徴があります。
肛門周囲腺腫の症状
肛門周囲腺腫は、肛門の近くに丸くてやわらかい腫瘤として現れることが多いです。
進行すると出血や感染を伴うこともあります。
主な症状は以下の通りです。
- 肛門の近くにできものができる
- お尻を気にして舐める
- 排便時に痛がる、いきみにくそうにする
- お尻を床にこすりつける
- 出血やただれ
とくに出血がみられた場合には、感染症を引き起こすこともあるため、早めに動物病院での診察を受けることをおすすめします。
肛門周囲腺腫の治療法について
肛門周囲腺腫の治療は外科的切除が基本です。
物理的に腫瘍を取り除くことで症状の改善が期待されます。
また、この腫瘍はホルモンの影響を受けるため、再発予防として去勢手術を併用することが一般的になります。
去勢手術によってホルモンの影響を断つことで、腫瘍の再発を抑えられる可能性が高いです。
肛門付近はデリケートな場所であり、手術後に腫れや排便障害が起きることもあります。
また、年齢や持病により全身麻酔のリスクが高い場合、手術に不安を感じることもあるかもしれません。
そのようなケースで注目されているのが、レーザーを用いた低侵襲な治療法です。
肛門周囲腺腫にレーザー治療は有効?
近年注目されているレーザー治療は、従来のメスによる切開と異なり、出血を抑えつつ腫瘍を切除・凝固できる技術です。
肛門周囲腺腫においても有効な選択肢となる場合があります。
肛門のような出血しやすく腫れやすい部位に対して、レーザーは以下のようなメリットをもたらします。
- 出血を最小限に抑えられる(止血効果)
- 腫れや痛みが軽減される
- 手術時間の短縮が期待できる
- 傷の治りが早く、回復がスムーズ
- 縫合が不要な場合もあり、身体への負担が少ない
とくに、高齢犬や持病がある犬で負担を抑えたい場合に検討されることが多い治療法です。
凝固治療について
当院では、レーザー切除に加えてインドシアニングリーン(ICG)併用の腫瘍凝固治療も行っています。
肛門周囲腺腫が大きく外科切除が難しい場合や、全身麻酔のリスクが高い高齢犬などに対してはICG併用凝固治療が有効なことがあります。
ICG併用凝固治療は色素を用いてレーザー照射の効果を高め、腫瘍の縮小を促す治療です。
この方法は「腫瘍を完全に除去すること」が目的ではなく、進行抑制・疼痛緩和・QOLの改善を目的に行われます。
根本治療には外科手術が必要なこともありますので、適応については獣医師とよく相談しましょう。
レーザー治療が向いているケース
レーザー治療は、以下のような場合に検討されることが多いです。
- 高齢で全身麻酔のリスクが気になる
- できるだけ出血や痛みを抑えたい
- 術後の回復を早めたい
- 入院期間を短くしたい
ただし、レーザー治療はすべての腫瘍に適応できるわけではありません。
腫瘍の大きさや性質によっては通常の外科手術が適していることもあります。
また、腫瘍の発生した場所や、大きさ、数が多いなどのケースでは当院では対応しきれない事もあります。
その際には高度医療病院を紹介させて頂くためご安心ください。
早期発見と去勢手術が大切
肛門周囲腺腫は、見た目では良性か悪性かの判断がつかないことが多く、細胞診や生検などによる正確な診断が必要な腫瘍です。
肛門の周囲にしこりやただれがある場合は、悪化する前にご相談いただくことが大切です。
また、去勢をしていない高齢犬では、発生リスクが高くなります。
犬が若いうちに去勢手術を行うことも重要ですね。
レーザーで去勢手術を行うこともできますので、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
まとめ
犬の肛門周囲腺腫は、見た目は良性でも放置すると出血や感染、排便障害などの原因になります。
早期に発見し、状況に合わせて適切な治療を選ぶことが愛犬の健康を守る第一歩です。
特に近年では、外科的に切除する治療法に加えて、レーザーによる治療という選択肢もあります。
当院では、通常の外科手術だけでなく、レーザー治療や温熱療法など、より身体に優しい治療法の選択肢をご提案しています。
高齢や持病のあるワンちゃん、再発を繰り返している場合など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 肛門周囲腺腫は必ず手術が必要ですか?
手術が必要かどうかは、肛門周囲腺腫の腫瘍の大きさや症状によって判断されます。
小さく症状がない場合は経過観察になることもありますが、出血や排便障害がある場合は切除が必要な場合もあります。
Q2. 犬の肛門周囲腺腫はレーザー治療だけで治すことはできますか?
犬の肛門周囲腺腫は小さな腫瘍であればレーザーで切除できる場合があります。
一方で、大きい場合や根治を目指す場合は外科手術が必要になることもあります。
レーザーが適応可能かどうかはよく獣医師と相談しましょう。
Q3. 高齢犬でも肛門周囲腺腫の治療は可能ですか?
高齢犬の肛門周囲腺腫では、犬の全身状態を確認したうえで、負担の少ない方法を選択して治療を行うことが可能です。
レーザー治療は麻酔や出血の負担を抑えやすいため、高齢犬にも選ばれることがあります。
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