犬が食後にかゆがるのはなぜ?|食物アレルギーについて獣医師が解説

餌を前にこちらを見つめる白い犬

犬が食後にかゆがるのはなぜ?|食物アレルギーについて獣医師が解説

「愛犬が食後に体を掻いているけど大丈夫かな?」
「食後にじんましんができて心配」
「食後のかゆみはどんな検査をするの?」
このように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
犬のかゆみを引き起こす原因はさまざまです。
ただし、特に食後にかゆがる場合には、食物アレルギーの可能性が高いです。

今回は犬の食後のかゆみについて、よく見られる症状や原因となる食物アレルギーについて詳しく解説します。
愛犬の食後のかゆみについてお悩みの方は、ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のケアにお役立ていただければ幸いです。

犬の食後のかゆみはどんな症状が出る?

犬が食後にかゆみを感じている場合、

  • 手足を使って体を掻く
  • 壁や床などに体を擦り付ける
  • 体を噛む

といった症状が見られます。
食後にかゆみが発生した場合、かゆみは一過性のことが多く、数時間〜1日ほどで治ることが多いものです。
ただし、毎日食べているものに原因があった場合には、かゆみが治まらず、常にかゆがっているように見える場合もあります。

じんましんに注意?

犬の食後にかゆみが出ている時、気をつけていただきたいのがじんましんです。
じんましんは人間と同様、全身の皮膚に赤い盛り上がりができ、かゆみを伴います。
じんましんが皮膚に出る分にはあまり心配いりません。

しかし、じんましんが口内や気管の中にまで発症すると、命に関わる危険があります。
食後に犬の体にじんましんを見つけた場合には、すぐに動物病院を受診してください。

犬の食後のかゆみの原因は何が考えられる?

犬の食後のかゆみの原因には、食物アレルギーが考えられます。
食物アレルギーとは、口から取り込んだものに対し、免疫が過剰に反応して起こるアレルギー症状のことです。
犬の食物アレルギーでは、

  • 肉類
  • 乳製品
  • 小麦
  • とうもろこし

などが代表的なアレルゲン(アレルギーの原因)です。

犬のかゆみの原因となる食べ物は特定できる?

餌の前で横になって眠る犬

犬の食後にかゆみが出ているとき、原因となる食べ物を特定するのは意外と難しいものです。
初めての食べ物でかゆみが出れば、それが原因の可能性が高いですよね。
しかし実際には、慢性的な食後のかゆみに悩まされていることも多いものです。

原因を特定するには、

  • 除去食試験
  • 血液によるアレルギー検査
  • 食物負荷試験

を組み合わせて、診断と治療を同時に行います。
それぞれについて詳しくご紹介します。

除去食試験

除去食試験とは、特定のアレルゲンを除去した食事を使い、アレルギーの原因を探る方法のことです。
除去食には、

  • 新奇タンパク質のフード
  • タンパク質を加水分解したフード

の2種類があります。

新奇タンパク質とは、今までに食べたことのないタンパク質のことです。
除去食では

  • 鹿肉
  • カンガルー肉
  • さつまいも

などを使用していることが多くあります。
タンパク質を加水分解した場合にもアレルギーを起こしづらくなるため、除去食として有効です。
上記のフードと水だけを6〜8週間犬に与え、症状が改善されるか確認します。

血液によるアレルギー検査

血液によるアレルギー検査では、犬の血液中に含まれる抗体がどんなアレルゲンに反応しているのかを調べます。
ただし、犬の場合、血液によるアレルギー検査の精度はあまり高くないのが現状です。
除去食試験の補助として、参考程度に行われることが多いです。

食物負荷試験

食物負荷試験とは、除去食試験で症状が改善したあとに、以前与えていた食事を再度与えることです。
食物負荷試験で症状が再発すると、食物アレルギーであったと診断することができます。

犬の食後のかゆみは犬アトピー性皮膚炎でも起こる?

犬の食後のかゆみを引き起こす直接的な原因は食物アレルギーです。
ただし、食物アレルギーの犬は犬アトピー性皮膚炎も発症していることが多いものです。
食物アレルギーの治療のみで改善しない場合には、犬アトピー性皮膚炎を併発している可能性も考える必要があります。

犬の食後のかゆみの治療は何をする?

犬の食後のかゆみの治療は、食事療法を行います。
検査によってアレルゲンを特定できれば、アレルゲンを避けた食事を日常的に与えます。
アレルゲンの特定が難しい場合でも、かゆみを起こさない除去食が見つかれば、継続的に使用することが可能です。
食物アレルギーは完治できないため、生涯にわたり食事療法を続ける必要があります。
犬に与える食事は、獣医師と相談しながら選びましょう。
おやつを与えるときには、アレルゲンを含まないか確認することも大切です。
最近ではアレルギーに対応した犬用おやつも市販されているので、愛犬に合ったものを選ぶと良いですね。

まとめ

餌を食べようと伏せして待つ犬

いかがでしたか?
犬の食後のかゆみを起こす食物アレルギーは、診断が難しく、最適な食事を見つけるまでに時間がかかる病気です。
定期的かつ長期にわたる受診となりますが、獣医師とともに愛犬に適した治療を見つけていきましょう。

当院では皮膚科に力を入れており、食物アレルギーにおいても適切なご指導が可能です。
犬の食後のかゆみや食物アレルギーでお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。

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