犬の慢性外耳炎とレーザー治療|効果と適応について詳しく解説

犬の慢性外耳炎とレーザー治療|効果と適応について詳しく解説

愛犬の耳のトラブルで悩んだことはありませんか?
日本の高温多湿な気候の影響で、耳トラブルは多くの犬が抱える問題のひとつです。
特に犬の慢性外耳炎は痒みや痛みが長く続くため、QOLが低下します。
現在、通常の慢性外耳炎治療に加えて、新たにレーザー治療が注目されています。
この記事では慢性外耳炎のレーザー治療について、詳しく解説していきます。
ぜひ、最後までお読みいただき外耳炎の新たな治療法について知見を深め、日常にお役立てください。

並ぶ2匹のミニチュアダックスフント

慢性外耳炎とは

慢性外耳炎とは、外耳(耳の入り口から鼓膜までの部分)に炎症が長期間持続したり、繰り返したりする疾患です。
外耳道が腫れたり、耳垢が溜まったりすることで強い痒みや痛みが出てきます。
通常の治療では一時的に良くなっても、すぐに繰り返してしまうケースが多いです。

外耳炎の主な症状

外耳炎の主な症状は以下のとおりです。

  • 頻繁に耳を掻く、頭を振る
  • 耳が赤く腫れる
  • 耳を触られるのを嫌がる
  • 耳垢が増える、悪臭がする

耳を痒がる症状はご自宅でも気が付きやすいです。
上記のような症状が続いているようであれば、すぐに病院にご相談ください。

慢性外耳炎の原因・検査

犬の慢性外耳炎の原因はひとつだけとは限りません。
さまざまな要因が重なり発症します。
主な原因は以下のとおりです。

  • アレルギー
  • 感染症
  • 耳の構造
  • 外傷や異物
  • 内分泌疾患

外耳炎の治療を行うにあたって、できるだけ原因を特定することが重要です。
飼い主さまへの十分な聞き取りに加えて、

  • 身体検査
  • 耳垢検査
  • 血液検査

といったような検査を組み合わせることで根本にある原因を発見し、再発を防ぐことができます。

外耳炎の通常の治療法

犬の外耳炎で通常行われる治療法は以下になります。

  • 外用薬
  • 内服薬
  • 耳の洗浄
  • 原因疾患の治療
  • 外科手術(全耳道切除)

外用薬では、抗菌剤や抗炎症薬などの点耳薬を使用します。
内服薬は抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症薬、抗アレルギー薬などを組み合わせて使用します。
また外耳炎では、その原因となる疾患の管理を行うことがとても重要です。
アレルギーの管理であったり、食事療法、内分泌疾患の治療などを行います。
また、重度の場合は耳道を切除する外科的な処置を行う場合もあります。

耳が裏返った状態で寝る犬

レーザー治療とは?

レーザー治療とは、特定の波長の光を使って組織に刺激を与え、治癒を促す非侵襲的な治療法です。

主なレーザーの種類は以下です。

  • 低出力レーザー
  • 高出力レーザー

低出力レーザーは、主に炎症の軽減や疼痛の緩和を目的に使用されます。
また、高出力レーザーはしこりの切除など外科的処置を行う際に使用されることが多いです。
レーザー治療は、レーザー光の波長や出力に応じて、様々な分野の治療に適用されています。

外耳炎に対するレーザー治療の効果

犬の慢性外耳炎に対する、レーザー治療の主な効果は以下になります。

  • 炎症の軽減
  • 疼痛の緩和
  • 血行の促進
  • 組織の修復

レーザー治療を実施することで炎症を抑え、痛みを和らげることができます。
血行を良くすることで、患部の回復が促進可能です。
またレーザーにより細胞を刺激をすることで、組織の修復が促進され皮膚の再生を助けます。

レーザー治療の適応

レーザー治療は、以下のような慢性外耳炎の犬に対して有効です。

  • 外耳道が肥厚して薬が効きづらい場合
  • 何度も再発を繰り返している場合
  • 薬に対して副作用や抵抗性がある場合
  • 外科手術を避けたい場合

レーザー治療は、内科治療だけでは症状が緩和できない場合が適応となります。

レーザー治療のメリット・デメリット

レーザー治療にはメリット・デメリットがあります。
しっかり理解したうえで、治療の選択肢のひとつとして活用していく必要があります。

レーザー治療のメリットは以下のとおりです。

  • 非侵襲的で痛みが少ない
  • 副作用がほとんどない
  • 現在使用している薬の量を減らせる可能性がある
  • 体への負担が少なく、シニア犬にも安全に行える

レーザー治療のデメリットは以下のとおりです。

  • すべての外耳炎に効くわけではない
  • レーザー治療を導入している動物病院が限られている
  • 治療費が通常治療と比較して高額になる可能性がある

外耳炎治療におけるレーザー治療は、通常の治療も組み合わせて行っていくことが基本となります。
なかなか良くならない慢性外耳炎の犬に対して有効な治療法のひとつです。

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まとめ

犬の外耳炎は再発しやすく、薬だけでは治りにくいケースも多いです。
通常の治療と並行して、レーザー治療を実施することで、愛犬の耳の不快感を取り除きQOL(生活の質)をあげられる可能性があります。

レーザー治療を実施できる病院は限られています。
ぜひ外耳炎でお困りの際は当院にご相談ください。
その子に合わせた最適な治療法をご提案いたします。

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