犬が春になると痒くなるのはなぜ？｜原因と対策を獣医師が解説

春になり暖かくなると、愛犬とのお散歩が楽しい季節になりますね。
しかし春になると、愛犬が身体をかいたり舐めたりする回数が増えたと感じたことはありませんか？
実は春は犬にとって痒みを引き起こしやすい時期です。

この記事では、犬が春に痒くなる原因と対策について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬を痒みから守るために何ができるか知見を深めていきましょう。

犬が春に痒くなる主な原因

犬が春に皮膚が痒くなる原因はさまざまであり、いくつかの要素が組み合わさって発症する場合もあります。
それぞれ詳しく解説していきます。

アレルギー性皮膚炎

犬のアレルギー性皮膚炎は、気温や湿度が上昇する春になると、環境中のアレルゲンが増えてくる影響で痒みが出やすくなります。
アレルゲンが皮膚に付着すると、炎症や痒みを引き起こします。
春に増えてくる主なアレルゲンは以下のとおりです。

• 花粉（スギ、ヒノキ、ブタクサなど）
• ハウスダスト、ダニ、カビ
• 植物

犬の花粉アレルギーの場合の症状は、皮膚の痒みが主ですが、他にも目の痒みやくしゃみ鼻水などの症状が出る場合もあります。
また、散歩中に接触する雑草や草花が身体に付着すると、アレルギーを起こし皮膚の痒みを起こすことがあるため注意が必要です。

ノミの感染

春になると、ノミも活発に活動をするようになってきます。
ノミに皮膚を刺されると強い痒みがでます。
また、ノミアレルギー性皮膚炎の原因にもなるため注意が必要です。
ノミによる皮膚炎の特徴は以下のようなものです。

• 背中や腰を強くかく様子がみられる
• 腰や内股周辺にかさぶたや脱毛がみられる
• 小さな赤い発疹がみられる

マラセチア性皮膚炎

マラセチアは、犬の皮膚に常在している酵母菌の仲間です。
春になり温度や湿度が上がると犬の皮膚の皮脂の分泌も増えるため、マラセチアが増えやすい環境になります。

マラセチア性皮膚炎の特徴は以下になります。

• 皮膚が赤くなる
• 臭いが強くなる（マラセチア臭）
• 痒みやフケが出る
• 身体がベタつく

症状は全身に出ますが、脇や内股、指の間や皮膚のシワの間など特に蒸れやすい場所にでやすいです。

換毛期

春は犬の換毛期のシーズンで、毛が大量に抜け替わります。

毛が絡まりうまく抜けなかったりなどすると、通気性が悪くなり皮膚が蒸れ、皮膚の痒みや皮膚炎を引き起こすことがあります。

環境の変化

春は引っ越しや新生活など飼い主側の生活にも変化が多い時期のため、犬もストレスを感じやすくなります。
ストレスにより免疫力が落ちると、皮膚のバリア機能が落ちたり、皮膚が過敏になったりすることで、痒みがでることがあります。

春に起きる皮膚の痒みへの対策

春の時期に痒みがでてきた際は、日常のケアによって悪化を防げることがあります。
悪化する前に以下のような対策や治療を行っていきましょう。

アレルゲンの除去

環境中のアレルゲンを完全に排除するのは難しいです。
こまめにシャンプーをしたり、散歩後にタオルで身体や足を拭き取ることでなるべく皮膚の表面からアレルゲンを取り除いてあげます。
また空気清浄機の使用や室内掃除で対策をすることも重要です。

投薬

皮膚のバリア機能が落ち、細菌やマラセチアの感染が認められる場合は抗生剤や抗真菌剤の投与が必要な場合もあります。
痒みのコントロールが難しいときには、痒みどめや抗炎症薬を使用し皮膚の炎症を抑えてあげることも有効です。

保湿

保湿は皮膚のバリア機能を強くするのにとても有効です。
特にアレルギーやアトピー体質の犬の肌は乾燥傾向にあります。
乾燥する冬の時期だけでなく、春も保湿を継続していきましょう。

シャンプーやブラッシング

こまめにブラッシングをして抜け毛を除去して、皮膚の通気性を良くしてあげることも大事です。
シャンプーは特にアレルゲンが皮膚に付着している場合や、皮脂が多くマラセチア性皮膚炎を起こしやすい犬に有効です。
また、薬成分の入った薬用シャンプーなどを使用することもあります。

ノミダニ予防薬の投薬

毎月のノミ・ダニ予防薬の投与を継続しましょう。
春以外の季節にも感染の可能性はあるため、基本的には通年で使用することがおすすめです。

サプリメント

犬の皮膚の健康を保つために、普段からオメガ3脂肪酸やビタミンEなど様々な成分が入ったサプリメントを使用することも効果的です。

生活リズムや住環境の整備

家の中を定期的に換気し、温度や湿度がこもらないようにしていきましょう。
前述のように空気清浄機を使用したり室内を清潔に保ち、犬が普段いるクッションなどは定期的に洗濯し、天日干しなどをして綺麗に保ちましょう。

また、犬がストレスを感じにくくするために、生活リズムを一定に保つことも重要です。

まとめ

春はとても気持ちの良い季節ですが、犬の皮膚トラブルが多くなるシーズンでもあります。
皮膚トラブルを放置すると、長期の治療が必要になる場合もあります。
犬が身体を掻く、舐めるといった行動がみられたときは、早めに原因を探り対策をしてあげることが重要です。

当院は皮膚科を強みにしています。
犬の皮膚トラブルでお悩みの際や、日常のスキンケアに関してのご相談などいつでも当院にご来院ください。

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