「体を常に痒がっている」
「皮膚にぶつぶつができている」
「薬を飲むと治るけど、何度も皮膚炎を繰り返す」
愛犬のこのような症状でお悩みではないですか?
犬の皮膚トラブルの中でも特に多いのが、細菌が原因による皮膚炎です。
皮膚を痒がったり、赤みや発疹などの症状が見られる場合、細菌性皮膚炎の可能性があります。
この記事では、犬の細菌性皮膚炎について、原因や治療法、再発予防まで詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚炎でお悩みの際にお役立てください。

犬の細菌性皮膚炎とは
犬の細菌性皮膚炎は、皮膚に細菌が異常増殖することで炎症を起こす病気です。
「膿皮症(のうひしょう)」とも呼ばれ、犬に多く見られる皮膚疾患のひとつです。
犬の皮膚は、
- 表皮
- 真皮
- 皮下組織
の3層から構成されています。
表皮はさらに以下のように4層の構造となっています。
- 角質層
- 顆粒層
- 有棘層
- 基底層
皮膚の最も表面にあるのが角質層です。
角質層は、皮膚の乾燥を防止したり病原菌やアレルゲンなどの侵入を防ぐなどの重要な役割があります。
健康な犬の皮膚にも細菌は存在していますが、皮膚バリアが弱くなると細菌が増殖し炎症や感染が発生します。
膿皮症の症状が出やすい箇所は以下のとおりです。
- お腹
- 脇や股
- 耳周辺
- 指の間
このような場所に皮膚の赤みやかさぶたなどの症状がでてきます。
進行すると、痒みだけでなく痛みや潰瘍などといった症状が出てくる場合もあるため注意が必要です。
犬が細菌性皮膚炎になる原因
犬が細菌性皮膚炎になる原因はさまざまですが、主に「皮膚バリアの低下」が原因となる場合が多いです。
細菌性皮膚炎になる具体的な原因をそれぞれ詳しく解説していきましょう。
アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎は犬の細菌性皮膚炎を起こす、非常に多い原因です。
- 食物アレルギー
- 環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)
- ノミアレルギー
アレルギーによって皮膚のバリア機能が弱くなると、細菌感染を繰り返します。
高温多湿
高温多湿は皮膚の状態の悪化の要因となります。
犬は湿気の強い梅雨〜夏場に特に皮膚炎が発症しやすくなります。
フレンチブルドックやパグのような皮膚にシワが多い犬種や、柴犬などの蒸れやすい犬種は注意が必要です。
不適切なスキンケア
正しいスキンケアは犬の皮膚の健康を守るために重要です。
不衛生な状態の皮膚や、間違ったケアが皮膚炎を慢性化させることがあるため注意が必要です。
以下のような不適切なスキンケアが細菌性皮膚炎を引き起こす原因となる場合があります。
- 合わないシャンプーの使用
- 過剰なシャンプーやブラッシング
- シャンプー不足
- ドライヤーの長時間使用
皮脂汚れが多い状態も問題ですが、洗いすぎも皮膚バリアを壊します。
シャンプーの頻度や使用するシャンプー剤などはその子によって異なるので、獣医師に相談するようにしましょう。
内分泌疾患
内分泌疾患によって皮膚の免疫状態が落ちると、細菌性皮膚炎が起こりやすくなることがあります。
代表的な疾患は以下のとおりです。
- 副腎皮質機能低下症
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病
このような内分泌疾患が根底にあると、皮膚炎の治療のみ実施しても細菌性皮膚炎は改善しません。
根本の原因疾患の治療によって病気がうまくコントロールできると、皮膚の症状も良化する場合があります。
免疫力低下
免疫力が下がると、皮膚のバリア機能が低下する原因となります。
免疫力が下がってしまうケースは以下のとおりです。
- 高齢・若齢の犬
- ストレスがかかる環境下
- 持病がある犬
- ステロイドや抗がん剤を使用中の場合
ストレスとなる要因を取り除いたり、スキンケアをより強化していくなど、その子に応じた対策が必要となります。
細菌性皮膚炎の種類
細菌性皮膚炎は主に3つのタイプがあります。
表面性膿皮症
表面性膿皮症は、皮膚の表面のみで細菌が増殖している状態です。
症状は軽い皮膚の赤みのみの場合が多く、抗菌シャンプーや外用薬のみで良化するケースがほとんどです。
表在性(浅在性)膿皮症
表在性膿皮症とは皮膚を構成する3層のうち、表皮と毛包といった皮膚の浅い場所に病変が起こる状態です。
犬の膿皮症で最も多く見られるタイプです。
表在性膿皮症の場合は皮膚に、
- 湿疹
- 膿疱(ニキビのような小さな白い膨らみ)
- 痂皮
- 脱毛
といった症状が出てきます。
また皮膚の炎症が長引いたり、繰り返すと色素沈着という皮膚の色が黒ずむことがあります。
深在性膿皮症
深在性膿皮症は、皮膚の奥の真皮と皮下組織にまで感染が進行した状態です。
通常、表在性皮膚炎が悪化することによって起こり、痒みだけでなく下記のような症状を伴います。
- 出血
- 強い痛み
- 膿
- 潰瘍
膿皮症がさらに悪化すると、広範囲に腫れや熱感を示すようになり、発熱することもあります。
深在性膿皮症になると長期治療が必要になることがあるため、早期治療が重要です。
動物病院で行う検査
細菌性皮膚炎の診断にはさまざまな検査を組み合わせて実施されます。
「細菌感染が起きてしまった根本の原因は何か」を特定する必要があるためです。
犬が湿疹を繰り返す場合には、問診の際に獣医師に状況を詳しく伝えることが重要です。
- 今までの経過
- 症状が出ている身体の場所
- 食事内容
- 予防歴
- 体調の変化の有無
上記の問診を踏まえて、動物病院では皮膚検査やアレルギー検査、また必要に応じて血液検査や画像検査といった全身状態の確認が行われます。
犬の細菌性皮膚炎は、原因に応じて下記のような治療を組み合わせて行われます。
- 抗生物質(細菌感染)
- 痒み止め
- 外用療法(薬用シャンプー・保湿剤)
- 食事療法
- 原因疾患の治療
犬の細菌性皮膚炎は継続的な治療と管理が重要です。
症状が改善しても症状の再発を予防するため治療薬を継続する場合もあります。
自己判断で治療を中断せず、獣医師の指示に従って、投薬を継続していきましょう。

細菌性皮膚炎を防ぐために自宅でできるケア
細菌性皮膚炎を防ぐためには皮膚のバリア機能を維持することが重要です。
具体的な対策法をそれぞれご紹介しましょう。
皮膚を清潔を保つ
皮膚のバリア機能を維持するには、皮膚を清潔に保つことが重要です。
- 散歩後に軽く拭く
- 湿気を残さない
- 皮膚を乾燥させすぎない(ドライヤーなどは短時間にする)
湿気は皮膚炎にとって大敵です。
シャンプー後はしっかりとタオルで水分を拭き取り、温度の低いドライヤーでしっかり乾かすようにしましょう。
正しいスキンケア
皮膚のバリア機能を維持するために正しいスキンケアを心がけましょう。
シャンプーの目安は月1〜2回程度です。
ただし皮膚病治療中はシャンプーの頻度を増やす場合もあるため、獣医師の指示に従って行うようにしましょう。
皮膚の状態に応じて、低刺激シャンプーや薬用シャンプーなどを使用します。
またシャンプー後は肌が乾燥しやすくなります。
アトピーの体質がある犬は皮膚が乾燥する傾向にあるため、保湿をしっかり行うことが重要です。
食事管理
皮膚の健康には栄養管理も重要です。
- オメガ3脂肪酸
- 高品質タンパク質
- 亜鉛
- ビタミンE
上記の成分が皮膚のバリア機能の維持に有効です。
これらが含まれる食事に変更したり、サプリメントなどを利用するのも有効でしょう。
細菌性皮膚炎は「原因管理」が最重要
犬の細菌性皮膚炎は、単なる感染症ではなく、「なぜ皮膚バリア機能が落ちてしまったのか」を見つけることが重要です。
抗生剤だけでは再発を繰り返すケースも少なくありません。
しかし、近年は薬剤耐性が問題視されています。
薬剤耐性とは抗生剤を使い続けることで細菌の薬に対する抵抗力が高くなり、治療効果が得られなくなることです。
そのためむやみな抗生剤の使用は避ける必要があります。
- スキンケア
- アレルギー管理
- 食事
- 生活環境改善(ストレスの軽減)
上記のようなものを組み合わせた総合的な管理を行っていくことが、細菌性皮膚炎の治療や再発予防にとって重要です。

まとめ
犬の細菌性皮膚炎は犬に多く認められる身近な疾患です。
犬の細菌性皮膚炎では、「なぜ皮膚バリア機能が落ちてしまったのか」を特定することが重要です。
抗生剤の使用だけでは再発を繰り返すケースも少なくありません。
皮膚トラブルは早期対応ほど治りやすいため、異変を感じたら早めに動物病院へ相談しましょう。
当院は皮膚科診療に力をいれています。
細菌性皮膚炎の治療から日頃のスキンケアの方法のご相談まで、何でもご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.犬の細菌性皮膚炎は自然に治ることがありますか?
A.犬の細菌性皮膚炎は自然に改善することもあります。
ただし皮膚炎の原因が治っていない場合は、再発を繰り返す可能性が高いです。
皮膚の赤みやかゆみが続く場合は、早めに動物病院で相談しましょう。
Q.犬の細菌性皮膚炎はなぜ何度も繰り返すのでしょうか?
A.犬の細菌性皮膚炎は、アレルギーや皮膚バリア機能の低下などの原因が改善されていないと繰り返しやすくなります。
細菌感染の治療だけでなく、根本的な原因を見つけて管理することが大切です。
Q.犬の細菌性皮膚炎を予防するために自宅でできることはありますか?
A.犬の細菌性皮膚炎の予防には、皮膚を清潔に保ち、適切なスキンケアを続けることが重要です。
また、食事管理や生活環境の見直しも皮膚バリア機能の維持につながります。
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