犬の皮膚にかさぶたを見つけると、
「ケガしたかな?」
「皮膚病かもしれない」
「何が原因だろう?」
と心配な気持ちになりますよね。
かさぶたは皮膚が傷ついた際の自然な治癒反応ですが、その背景にはさまざまな病気が隠れていることがあります。
この記事では、犬の皮膚にかさぶたができる主な原因、症状の特徴、動物病院を受診する目安について詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき愛犬の皮膚にかさぶたができてお困りの際にお役立てください。

犬の皮膚のかさぶたとは?
かさぶたは医学用語では「痂皮」と呼ばれ、皮膚の傷や炎症部分から出た血液や体液が乾燥して固まったものです。
かさぶたの役割は傷口を保護し、皮膚が再生して傷がふさがるのを助けたり、細菌の侵入を防ぐことです。
通常、犬のかさぶたは傷が深くなければ一週間程度で自然と剥がれてきます。
しかし、かさぶたが繰り返しできたり、広範囲に発生したりなかなか治らない場合は、皮膚病やアレルギーなどの異常が原因になっていることがあります。
犬にかさぶたができる主な原因
犬の皮膚にかさぶたができる原因にはさまざまなものがあります。
それぞれ詳しく解説しましょう。
外傷や引っかき傷
犬同士の遊びや散歩中の接触、家具への擦れなどによる傷が原因でかさぶたができることがあります。
このような外傷の場合の特徴は以下のとおりです。
- 単発のかさぶた
- 周囲の皮膚は正常
- 数日〜1週間程度で改善
小さな傷の場合はかさぶたも自然に治ることがほとんどです。
アレルギー性皮膚炎
犬にかさぶたができる最も多い原因のひとつがアレルギーです。
アレルギーには以下のようなものがあります。
- 食物アレルギー(特定のタンパク源など)
- 環境アレルギー(ハウスダスト、花粉、カビ、ダニなど)
- ノミアレルギー性皮膚炎
環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)はハウスダストや花粉などの環境アレルゲンに過剰な免疫反応を起こしたり、皮膚バリアの機能が低下することによって、引き起こされる疾患です。
食物アレルギーでは特定の食材(牛肉、鶏肉、小麦など)に反応して皮膚症状が出ます。
食物アレルギーは季節に関係なく症状が続くのが特徴です。
また下痢や排便回数の増加などといった消化器症状を伴う場合もあります。
このようなアレルギーは慢性的な痒みを起こすため、犬が皮膚を引っ掻いたり、皮膚に感染を起こすことでかさぶたが形成されます。
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが吸血するときに注入する唾液に対するアレルギー反応によって起こる皮膚炎です。
ノミの数が少数でも発症し、強い痒みによって犬が身体を掻いてしまいます。
ノミが犬の皮膚に寄生した場合、
- 腰
- 尻尾の付け根
- 背中
に多数のかさぶたが集中することが特徴的です。
膿皮症
膿皮症では、細菌感染による炎症や膿疱が破れることでかさぶたが形成されます。
膿皮症は、犬の皮膚に常在するブドウ球菌などが異常増殖することで発症する皮膚病です。
初期には赤みや小さな発疹がみられますが、進行すると膿を含んだ膿疱ができ、それが破れることでかさぶたになります。
犬で非常によくみられる皮膚病のひとつです。
マラセチア皮膚炎
犬のマラセチア皮膚炎では、炎症やかゆみによって皮膚が傷つき、かさぶたがみられることがあります。
マラセチア皮膚炎は、皮膚の常在するマラセチア(酵母様真菌)が異常に増殖することで起こる皮膚炎です。
皮膚のかさぶた以外にも皮膚のベタつきや独特のにおいが特徴です。
特に症状が出やすいのは、
- 脇
- 内股
- 指の間
といった蒸れやすい場所です。
疥癬
犬の疥癬では、非常に強いかゆみによって皮膚を掻き壊し、厚いかさぶたができることがあります。
疥癬は犬疥癬虫(イヌヒゼンダニ)が寄生することによって起こる皮膚病です。
特に
- 耳の辺縁
- 脇
- 肘
- 腹部
といった場所に皮膚の赤みやかさぶたの症状が出ることが多いです。
酷くなると炎症を起こした皮膚のかさぶたがうろこ状になってしまうことがあります。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症では、真菌感染による炎症によってかさぶたやフケがみられることがあります。
皮膚糸状菌症はいわゆる「カビ」の感染症です。
- 目の周囲
- 口周り
- 耳
- 足先
といった場所にかさぶたやフケ、脱毛といった症状がでます。
皮膚糸状菌症は若齢犬や免疫力が低下した犬が罹患しやすいです。
また犬から人にうつることがある人獣共通感染症のひとつであるため注意しましょう。
皮膚腫瘍
皮膚にできる腫瘍もかさぶたの原因のひとつです。
皮膚の表面にできる腫瘍は自壊といって表面から出血したり漿液がでることでかさぶたが形成される場合があります。
皮膚にできる腫瘍は良性から悪性のものまでさまざまです。
中でも皮膚型リンパ腫と呼ばれる悪性腫瘍は、その他の皮膚疾患やアレルギーなどと見分けがつきにくい症状が見られます。
皮膚のかさぶたが中々治らなかったり酷くなる場合には注意が必要です。
落葉状天疱瘡
落葉状天疱瘡では、膿疱が破れたあとに特徴的なかさぶたが形成されます。
落葉状天疱瘡は自己免疫疾患のひとつです。
犬の身体を守る免疫系が皮膚の細胞を攻撃して壊してしまうことで、皮膚や粘膜にトラブルを起こします。
症状の好発部位は以下のとおりです。
- 鼻先
- 眼の周囲
- 耳
- 肉球
また症状が進行すると腹部や身体全体に広がってしまうこともあります。

動物病院を受診すべき症状
以下のような場合は早めの受診が必要です。
- かさぶたが治らない
- 強く痒がる
- 膿が出る
- 悪臭がする
- 元気や食欲がない
- 発熱する
このような症状は皮膚疾患の悪化や全身状態が落ちている可能性があります。
かさぶたの範囲が狭く見えても、皮膚の下の感染や炎症が広がっている可能性があるため、見た目だけで判断しないようにしましょう。
皮膚炎は悪化すると治療が長引いてしまう場合が多いため、早期に治療をしてあげることが重要です。
犬のかさぶたの予防のポイント|ご自宅でのケア
かさぶたなどの皮膚トラブルを防ぐためには日常管理が重要です。
以下のようなことを心がけ犬の皮膚の環境を整えていきましょう
- 適切なスキンケア
- 食事管理(アレルギー対策)
- 定期的な予防薬の投与
- 定期検診
また、皮膚のかさぶたは無理に剥がしてはいけません。
かさぶたは傷ついた皮膚の保護の役目があるため、無理にはがすと出血したり、感染や治癒の遅れにつながります。
犬がかさぶたを舐めたり引っ掻いてしまう場合は、エリザベスカラーの着用などの対策をしましょう。

まとめ
犬の皮膚にできるかさぶたは、単なる傷だけでなくさまざまな病気のサインである可能性があります。
特に痒みや脱毛が見られたり、かさぶたが繰り返し発生する場合は、皮膚病が背景にあることが多いです。
かさぶたを無理にはがさず、皮膚の状態をよく観察しながら適切なケアを行い、異常が続く場合は早めに動物病院を受診しましょう。
早期発見・早期治療が、愛犬の皮膚の健康を守るための重要なポイントです。
当院では皮膚科診療に力を入れています。
犬のかさぶたでお困りの際や、日頃のスキンケアのご相談までいつでもご来院ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.犬の皮膚にかさぶたができた場合は様子を見ても大丈夫ですか?
A.犬のかさぶたが小さな傷によるもので、数日から1週間ほどで改善する場合は様子を見られることもあります。
ただし、かさぶたが増える、治らない、繰り返しできる場合は皮膚病が隠れている可能性があるため受診をおすすめします。
Q.犬の皮膚のかさぶたを見つけたら剥がした方がいいですか?
A.犬の皮膚のかさぶたは無理に剥がさないようにしましょう。かさぶたには傷ついた皮膚を保護する役割があり、無理に剥がすと出血や感染、治癒の遅れにつながることがあります。
Q.犬の皮膚にかさぶたができないようにするにはどうしたらいいですか?
A.犬の皮膚の健康を保つためには、適切なスキンケアや定期的な予防薬の投与が大切です。また、低刺激のシャンプーを使用してしっかり乾かすことや、バランスの良い食事を続けることも皮膚トラブルの予防につながります。
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