
「愛犬の毛がどんどん抜けていく」
「新しい毛が生えてこない」
「痒みはないのになぜ毛が抜けるの?」
このように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の脱毛というと、皮膚のトラブルや感染症を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、犬の脱毛の原因には遺伝が関わっていることもあります。
今回は犬の遺伝性の脱毛について、特徴や治療法を詳しく解説します。
愛犬の脱毛にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のケアにお役立ていただければ幸いです。
犬の遺伝性の脱毛には何がある?
犬の遺伝性の脱毛には、
- アロペシアX(脱毛症X)
- パターン脱毛症
- 被毛色脱毛症
があります。
いずれも特定の犬種によく見られる病気であり、発症には遺伝が関わっていると考えられます。
しかし、残念ながら、詳しい原因は明らかになっていません。
アロペシアX(脱毛症X)

アロペシアXは、毛周期が停止してしまう病気です。
アロペシアXは、ポメラニアンに多く発生するほか、
- トイプードル
- パピヨン
- シベリアンハスキー
- シェットランドシープドッグ
といった犬種でも見られます。
アロペシアXの症状は何がある?
アロペシアXの症状には、
- 胴体や尾に脱毛が見られる
- 脱毛部分の皮膚が黒ずむ
- 脱毛後、新しい毛が生えてこない
といったものがあります。
脱毛は左右対称に起こることが多く、痒みを伴わないことも特徴です。
アロペシアXの症状は見た目の問題だけであり、健康上の問題はありません。
ただし、毛のない状態が長期的に続くと、皮膚のトラブルを招く危険があるため、注意が必要です。
アロペシアXの治療方法は?
アロペシアXの治療方法はまだ確立されていません。
しかし、効果の認められた治療法として、以下のようなものがあります。
- ホルモンを調整する薬の投与
- サプリメントの使用
- 避妊去勢手術
- マイクロニードルやレーザーの照射
ただし、いずれも短期間で効く特効薬ではなく、数ヶ月〜数年にわたる治療が必要となることも多いでしょう。
パターン脱毛症

パターン脱毛症とは、犬の特定の部位に脱毛が見られる病気です。
パターン脱毛症は、
- ダックスフンド
- フレンチブルドッグ
- ボストンテリア
- チワワ
などの犬種に多く見られます。
パターン脱毛症の症状は何がある?
パターン脱毛症では、痒みや炎症を伴わない左右対称性の脱毛が特徴です。
毛が細く薄くなる症状から始まりますが、進行はゆっくりで、徐々に毛が抜け落ちて行きます。
パターン脱毛症の症状は、
- 耳の付け根
- 首
- 胸からお腹
- 太ももの内側
といった場所に多く見られ、1歳までに発症します。
パターン脱毛症は見た目の問題が大きく、健康上の問題となることはあまりありません。
パターン脱毛症の治療方法は?
パターン脱毛症に、確立された根治療法はありません。
ただし、発毛効果が報告されているものとして、
- メラトニン
- 必須脂肪酸
- ビタミンE
といったサプリメントが挙げられます。
サプリメントを使用する際には、自己判断せず、必ず獣医師と相談しましょう。
あくまでサプリメントであるため、効果には個体差があることにも注意してくださいね。
被毛色脱毛症

被毛色脱毛症とは、特定の色の毛にだけ脱毛が起こる遺伝性の病気です。
メラニン色素が毛の中で不均等に分布することで、毛が脆くなり、脱毛へとつながります。
被毛色脱毛症には、
- グレーや薄茶の毛に起こる淡色被毛脱毛症
- 黒色の毛に起こる黒色被毛形成異常症
があります。
淡色被毛脱毛症は、
- ドーベルマン
- ピンシャー
- ヨークシャーテリア
- チワワ
- シュナウザー
などが好発犬種です。
黒色被毛形成異常症は、
- ビーグル
- ジャックラッセルテリア
- ボーダーコリー
- キャバリア
- パピヨン
などの犬種に多く見られます。
被毛色脱毛症の症状は何がある?
被毛色脱毛症の主な症状は薄毛や脱毛です。
淡色被毛脱毛症では、皮膚の乾燥を伴うことも多いです。
被毛色脱毛症では、毛穴の中で折れた毛が皮膚を刺激してしまうため、炎症や感染を起こす可能性もあります。
炎症や感染を起こすと、皮膚に
- かゆみ
- 赤み
- ぶつぶつ
といった症状が見られます。
被毛色脱毛症の治療方法は?
被毛色脱毛症に、確立された根本的な治療方法はありません。
ただし、皮膚に炎症が起きている場合には、対症療法を行うことがあります。
淡色被毛脱毛症では、メラトニンやビタミン剤による効果の報告もありますが、個体差があるため注意が必要です。
ご家庭でできる対応としては、
- 洋服を着せる
- 定期的にシャンプーをする
- シャンプーやスキンシップは優しく行う
などがおすすめです。
毛への刺激をできる限り抑え、皮膚を清潔に保つことで、症状の悪化を予防しましょう。
遺伝性の脱毛で気をつけたいこと
遺伝性の脱毛は診断が難しく、除外診断が基本となります。
獣医師が、
- 血液検査
- 皮膚検査
- 被毛検査
- 病歴の確認
などの情報を元に総合的に診断します。
誤った判断は症状を悪化させる恐れがあるため、遺伝性の脱毛が疑われるときには、必ず受診しましょう。
遺伝性の脱毛を起こしやすい犬種では、バリカンを使用したトリミングが発症のきっかけとなることもあります。
トリミングする場合には、
- はさみを使用する
- 短く切りすぎない
- 必要最低限の場所のみに留める
といった点に気をつけるのがおすすめです。
まとめ

いかがでしたか?
遺伝性の脱毛には、残念ながら確立した治療方法がほとんどありません。
しかし、効果の報告されている方法もいくつかあるため、獣医師と相談し、愛犬に合った方法を見つけていきましょう。
当院では皮膚科に力を入れております。
遺伝性の脱毛についても、さまざまな方法をご提案可能です。
愛犬の遺伝性の脱毛についてお困りの方は、お気軽に当院までご連絡ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.犬の脱毛は遺伝だけが原因ですか?
A.犬の脱毛は遺伝だけが原因ではありません。
遺伝が関係している場合もありますが、感染症やホルモン異常など他の原因で起こることもあります。
見た目だけで原因を判断することは難しいため、複数の可能性を考えて検査を行うことが大切です。
Q.遺伝性の脱毛は治すことができますか?
A.遺伝性の脱毛は根本的な治療が難しいケースが多いとされています。
ただし症状の進行をゆるやかにしたり、皮膚の状態を整えたりする方法が検討されることがあります。
Q.遺伝性の脱毛でも日常生活で気をつけることはありますか?
A.遺伝性の脱毛がある犬では、皮膚への刺激を減らし清潔を保つことが大切です。
トリミング方法やスキンケアを工夫することで、皮膚トラブルの予防につながる場合があります。
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