「左右対称の脱毛があるけど、何かの病気なのかな?」
「ホルモン異常による脱毛と診断されたけど、ふつうの皮膚病となにが違うの?」
「この脱毛は薬で治るのかな?」
という悩みをもつ飼い主様もいらっしゃると思います。
犬の脱毛には、さまざまな原因があります。
中でも、左右対称に脱毛がすすむ場合にはホルモン異常が関係している場合が多いことが特徴です。
今回は、犬の左右対称の脱毛について一般的な皮膚病との違いや治療などについて解説します。
ぜひ最後まで読んでいただき愛犬の脱毛の原因を知るヒントにしてください。

左右対称の脱毛と一般的な皮膚病による脱毛の違い
犬の脱毛の原因として考えられるものは2つあります。
- 皮膚そのものの病気
- ホルモン異常(内分泌疾患)
この2つは見た目に違いがあることが多いです。
一般的な皮膚病でみられる脱毛の特徴
感染症やアレルギーなどによる脱毛では、以下のような特徴があります。
- 多くは左右非対称
- 強いかゆみ
- 皮膚の赤み
- フケ
- 発疹
一般的な皮膚病による脱毛の場合は、かゆみや皮膚の炎症がみられることが多いです。
ホルモン異常でみられる脱毛の特徴
一方、内分泌疾患などのホルモン異常で見られる脱毛には以下のような特徴があります。
- 左右対称の脱毛がある
- 尻尾の脱毛(ラットテイル)がある
- 皮膚が薄くなる
- 痒みがほとんどない
- 皮膚が黒ずむ(色素沈着)
- 毛が細くなる
ホルモン異常が原因となっている場合は、左右対称でかゆみを伴わない脱毛であることが多いです。
ただし、細菌感染を併発している場合には、強いかゆみが出ることもあります。
またホルモン異常の場合には、上記の他にも飲水量の増加などの全身症状が伴うことがあります。

犬の左右対称の脱毛ではどんな病気の可能性がある?
犬の左右対称の脱毛で考えられる病気は以下の通りです。
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- 甲状腺機能低下症
- アロペシアX
- 性ホルモン関連
以下がそれぞれの病気の特徴です。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎皮質機能亢進症は、副腎からでる副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰にでる病気です。
中高齢の犬に多くみられます。
原因としては
- 副腎腫瘍
- 下垂体腫瘍
- ステロイド薬の長期または大量使用
などが考えられます。
副腎皮質機能亢進症を放置すると、糖尿病や高血圧、腎不全などの合併症がおこることがあるため注意が必要です。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、首の前側にある甲状腺という場所からでる甲状腺ホルモンが欠乏する病気です。
甲状腺ホルモンが欠乏すると、脱毛や元気消失などの症状が見られることがあります。
甲状腺機能低下症は、老化現象と見過ごされることも多いです。
気になる症状がある場合は様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
甲状腺機能低下症を放置すると、皮膚病の悪化や心不全、発作などがおこることがあるため注意が必要です。
アロペシアX
アロペシアXは、特にポメラニアンにおこることが多い脱毛症です。
原因は特定されていませんが、遺伝的なものやホルモンの関与が疑われています。
アロペシアXの症状は以下のようなものがあります。
- 痒みはない
- 頭と四肢以外に左右対称の脱毛がおこる
- 被毛の質の低下がある
アロペシアXは命に関わる病気ではありませんが、見た目の変化が気になる飼い主様も多い病気です。
性ホルモン異常
性ホルモンが過剰に出ることでも、脱毛がおこることもあります。
性ホルモン異常による脱毛は、卵巣や精巣の腫瘍が原因でおこるとされます。
未避妊、未去勢の動物でみられるため、避妊去勢を行っていない場合は注意が必要です。

犬の左右対称の脱毛での主な検査は?
左右対称の脱毛がみられた場合、原因を特定するためにいくつかの検査を行います。
見た目だけではホルモン異常かどうかを確定できないため、段階的に検査を進めていきます。
脱毛の原因を正確に特定することは、適切な治療を進めるうえで非常に重要です。
左右対称の脱毛がある場合は、自己判断せず、必ず動物病院で検査を受けるようにしましょう。
皮膚検査
まずは、感染症や寄生虫などによる一般的な皮膚病ではないかの確認が必要です。
顕微鏡で
- 細菌
- 真菌
- ダニ
などの有無を調べ、皮膚の炎症の程度を調べていきます。
血液検査
血液検査では内臓機能の状態や全身の健康状態を確認します。
同時に、甲状腺ホルモンや副腎ホルモンなどの異常が疑われる場合のスクリーニング検査をすることもできます。
ホルモン検査
クッシング症候群や甲状腺機能低下症が疑われる場合には、より詳しいホルモン検査を行います。
特定の刺激試験や抑制試験を実施し、ホルモン分泌の異常がないかを確認します。
画像検査
超音波検査やレントゲン検査により、副腎や肝臓の状態を評価します。
腫瘍の有無や臓器の大きさの変化を確認することが目的です。
尿検査
クッシング症候群が疑われる場合には、尿中コルチゾールとクレアチニンの比率を測定します。
これは体内でストレスホルモンが過剰に分泌されていないかを確認するために必要な検査です。
皮膚の組織生検
皮膚の組織生検は、皮膚の一部を採取して詳しく調べる検査です。
他の皮膚病との鑑別が必要な場合などにおこなわれます。
犬の左右対称の脱毛の治療は?
犬の左右対称の脱毛の治療は、原因となる疾患により異なります。
それぞれの治療方法についてくわしく解説していきましょう。
クッシング症候群や甲状腺機能亢進症
クッシング症候群や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患によるホルモン異常では、ホルモンを調整するための薬物療法が必要になります。
その場合、定期的な血液検査でホルモンの値をチェックしながら治療することが大切です。
副腎腫瘍などが原因の場合には、状態に応じて手術をすすめられることがあるかもしれません。
アロペシアX
アロペシアXの治療では、特に健康状態に異常が見られない場合は、治療はおこなわず経過観察となることが多いです。
サプリメントなどを使用することで効果が見られる場合もあります。
気になる場合は獣医師に相談してみましょう。
性ホルモン異常
性ホルモンの異常の治療法では、避妊・去勢手術がおこなわれます。
手術後は、多くの場合脱毛が3ヶ月ほどで改善するとされています。
受診の目安は?
次のような症状がある場合、早めの受診をおすすめします。
- 皮膚がただれている、膿が出ている
- 痒がる
- 左右対称の脱毛が進行している
- 多飲多尿がある
- 元気食欲がない
ホルモン異常などにより皮膚の状態が悪くなると、皮膚のバリア機能や免疫力が低下し細菌感染をおこしやすくなります。
細菌感染を併発すると痒みが強くなり、愛犬のストレスになるため早めの治療が大切です。
また、脱毛には大きな病気が隠れている可能性もあるため、単なる脱毛と放置せずに早めに動物病院を受診しましょう。

まとめ
今回は、犬の左右対称の脱毛について解説しました。
左右対称の脱毛はホルモン異常が原因となっている場合が多いです。
早期に原因を特定し、適切な治療を行うことが重要ですね。
当院では、ホルモン異常による左右対称の脱毛をはじめ、皮膚科診療に力を入れています。
犬の脱毛にお悩みの飼い主様は、ぜひ一度ご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 犬が尻尾の付け根をかゆがる場合、どのような原因が考えられますか?
A. 犬が尻尾の付け根をかゆがる場合、ノミアレルギーやアレルギー性皮膚炎、細菌や真菌の増殖、肛門腺のトラブルなどが関係していることがあります。
原因は一つとは限らず、複数の要因が重なっているケースもあります。
Q. 尻尾の付け根をかゆがっていても、様子を見てよい場合はありますか?
A. 一時的な行動であれば自然に落ち着くこともありますが、かむ・なめる行動が続く場合は注意が必要です。
皮膚の赤みや脱毛が見られる場合は、早めに原因を確認することが安心につながります。
Q. 尻尾の付け根のかゆみは、日常生活で予防することができますか?
A. 定期的なノミ・ダニ予防や、皮膚の状態に合ったシャンプー、日ごろの皮膚チェックは予防につながります。
気になる変化が続く場合は、当院で皮膚や肛門腺の状態を含めて確認することも可能です。
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