犬のアロペシアXという病気をご存知でしょうか?
アロペシアXとは、犬にみられる原因不明の脱毛症の一種です。
痒みがないのが特徴で、徐々に毛が抜けていく病気です。
突然愛犬の毛が抜けていくと不安になる飼い主様も多いかと思います。
この記事では犬のアロペシアXについて、原因・症状・治療法などを詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みいただきアロペシアXの知見を深めてください。

犬のアロペシアXとは?
アロペシアXは、犬に見られる原因不明の非炎症性の脱毛症の一種です。
「X」と付くのは、はっきりとした原因が特定できていないためです。
犬のアロペシアXの特徴は、以下のようなものがあります。
- 痒みがない
- 元気・食欲などその他の体調は正常である
- 徐々に毛が抜け、再生しにくくなる
アロペシアXの発症年齢の多くは1〜5歳で、避妊・去勢手術後に目立つようになるケースもあります。
ただし、子犬期や高齢になってから発症する例もあるため注意が必要です。
また、アロペシアXは特定の犬種に多く見られることが知られています。
特に多い犬種は以下のとおりです。
- ポメラニアン
- トイ・プードル
- パピヨン
- サモエド
- アラスカン・マラミュート
- シベリアン・ハスキー
このなかでもポメラニアンは代表的で、「ポメラニアン脱毛症」と呼ばれることもあります。
アロぺシアXの主な症状
アロペシアXの症状として特徴的なものは以下のようなものになります。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
脱毛の進行
アロペシアXの主な脱毛部位は以下のとおりです。
- 首周り
- お尻・太もも
- 背中
- 尾
初期には首回りやお尻などから左右対称に脱毛が進行し、最終的には全身に広がっていくことが多いです。
皮膚の色素沈着
アロぺシアXの場合は、脱毛部の皮膚が黒くなる色素沈着が認められることもあります。
しかし皮膚自体は健康で、赤みや炎症は少ないことが多いです。
痒み・痛みがほぼない
アロペシアXの場合は、皮膚の炎症を起こさないため皮膚の痒みや痛みがほぼありません。
そのため掻いたり舐めたりといった症状はほとんど見られません。
その他の皮膚病では痒みなどで生活の質(QOL)が落ちることが多いですが、アロペシアXの場合は通常通りの生活を送れることがほとんどです。
アロペシアXの原因は?
アロペシアXの原因は完全には解明されていませんが、以下が関与していると考えられています。
ホルモン代謝異常
アロペシアXの原因としてホルモンの代謝異常が疑われています。
- 成長ホルモン
- 性ホルモン(エストロゲン・テストステロン)
- 副腎ホルモン
上記のようなホルモンのこれらの分泌量ではなく、毛が生えてくる毛包での反応異常が疑われています。
毛周期の異常
毛が生えて抜ける一定のリズムのことを毛周期といいます。
アロペシアXの原因のひとつに毛が「休止期」のまま成長期に戻れないことが考えられています。
毛包自体は存在していても、毛が生えてこない状態です。
遺伝的要因
アロペシアはポメラニアンを代表として特定の犬種に多いため、遺伝的な関与も疑われます。
アロペシアXの診断方法
アロぺシアXに特定の診断方法はありません。
そのためアロペシアXの診断は除外診断が基本となります。
脱毛の症状を示す疾患はさまざまのものがあるため、アロペシアXと診断するためには、以下の疾患と区別する必要があります。
- クッシング症候群
- 甲状腺機能低下症
- 皮膚糸状菌症(カビ)
- 細菌性皮膚炎
- アレルギー性皮膚炎
脱毛や皮膚炎を引き起こすホルモン疾患やアレルギーに伴う皮膚疾患が代表的です。
上記のような疾患を診断するためには、以下のような検査が実施されます。
- 血液検査
- 皮膚検査(被毛検査、真菌検査)
- 皮膚生検(必要に応じて)
これらの検査で異常が見つからず、症状が典型的な場合には「アロペシアXが疑われる」と診断されます。

アロペシアXに治療法はある?
アロペシアXは、
- 命に関わらない
- 生活の質(QOL)が保たれている
- 必ず治る治療法はない
という特徴があります。
そのため、アロペシアXの治療の中心は「見た目の改善」となります。
主な治療の選択肢は以下のようなものがあります。
避妊・去勢手術の実施
避妊・去勢手術を実施することでホルモンバランスが整い、毛周期が改善することがあります。
しかし全ての犬に効果があるわけではないことに注意が必要です。
メラトニン療法
睡眠ホルモンとして知られているメラトニンは、犬の発毛に影響を与える物質でもあります。
比較的副作用が少なく安全に使用することができ、軽度〜中等度の効果が見られることがあります。
ただし効果が出るまで数か月かかる場合があるため、効果の判定には注意が必要です。
ホルモン療法
アロぺシアXの発症にホルモンの関与が疑われる場合は、下記のようなホルモン剤の投与を行うことがあります。
- 成長ホルモン
- トリロスタン(副腎ホルモン)
しかしホルモン剤の投与は、副作用のリスクがあるため慎重な判断が必要です。
マイクロニードル
近年は、細い針で皮膚を刺激して毛包の細胞を活性化させ発毛を促すマイクロニードルという治療法もあります。
痛みを伴うため局所または全身麻酔が必要になる点と、実施できる施設が限られている点には注意が必要です。
外用・補助療法
脱毛した皮膚は乾燥や刺激に弱くなることがあります。
皮膚の乾燥を防ぐには、毎日の保湿や定期的なシャンプーが効果的です。
また補助療法としてサプリメント(亜鉛、オメガ3脂肪酸など)の使用が皮膚の健康を守り発毛を促すのに有効な場合もあります。
また毛が生えてくることはある?
アロペシアXは治療に反応すれば毛が生えてくることが多いです。
一方で、発毛が見られても再発するケースが多く、毛の状態が安定しにくい病気でもあります。
そのためアロペシアXの治療は生涯付き合っていくケースが多いです。
また、治療を行わなくても時間とともに発毛するケースもありますが、必ずしも全ての犬が無治療でいいというわけではありません。
愛犬の状態に応じて、獣医師とよく相談しながら治療を進めていくことが重要となります。
ご自宅でできるケアはどんなことがある?
愛犬がアロペシアXと診断されたときは、皮膚の健康を守るために以下のような対策をすることがおすすめです。
- 紫外線対策(直射日光を避ける)
- 冬場の防寒対策をする
- 皮膚を清潔に保つ
- 皮膚の保湿をする
犬自身が快適に生活できるようにご自宅でのケアを心がけていきましょう。

まとめ
犬のアロペシアXは原因不明の脱毛症で、痒みなどの症状はありません。
しかし治療は通常長期にわたることが多く、症状が改善したあとも再発のリスクがあります。
アロペシアXの治療は飼い主様と獣医師が連携し、生涯付き合っていくことが重要です。
当院は皮膚科診療に力を入れています。
愛犬の脱毛が気になっている際や、治療法のご相談などいつでも当院にご来院ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 犬のアロペシアXは、放っておいても大丈夫な病気ですか?
アロペシアXは命に関わる病気ではなく、かゆみや痛みが出ないことが多い脱毛症です。
ただし、見た目の変化や皮膚の乾燥が進むことがあるため、定期的な診察とケアが重要になります。
Q2. アロペシアXは必ず治療しなければいけませんか?
犬の生活の質が保たれている場合、必ずしも治療が必要というわけではありません。
見た目の改善を希望する場合や、皮膚の状態を守る目的で治療や補助療法を行うことがあります。
Q3. アロペシアXで抜けた毛は、また生えてくることがありますか?
治療や体質の変化によって発毛が見られるケースもありますが、再発することもあります。
そのため、短期間での完治を目指すよりも、長期的に皮膚の健康を維持する考え方が大切です。
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